2018年8月1日(水)、三島市民活動センターを会場に、アルテ·プラーサ主催 講演会
「地域を創る幼児教室 ~アートと幼児教室の実践が生み出す価値とは~」を開催しました。

当日は、県内外の教育関係者、子育て中の保護者、アート、デザインに関わる方、行政関係者、企業等36名にご参加いただきました。
豊岡武士三島市長、小坂寿男三島市副市長、野村諒子三島市議会議員にもお越しいただきました。
平日の午後の開催にも関わらず、多くの方に興味を持っていただけて、活動を始めたばかりのアルテ・プラーサにとっては、とても心強いスタートとなりました。

講師は、国境なき保育士 杉下裕樹さん。

イタリアの乳幼児教育実践法「レッジョ·エミリア·アプローチ」に現地で触れ、地元の茅ヶ崎市で市民活動として実践されています。

杉下さんからは、以下のような内容を講演いただきました。(文責:アルテ・プラーサ)

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◆幼児教育にとってアートとは◆

感覚的で取り組みやすく、自由な自己表現活動である。内的なものを可視化し、他人と共有し認め合い、自己肯定できるもの。

◆レッジョエミリア·アプローチの歴史◆

1991年Newsweek誌で世界で最も先進的な教育と評されたイタリアの乳幼児教育。戦後復興の中、二度と戦争を起こさない人を生み出すという市民意識から、長い年月を経てつくりあげられた乳幼児教育実践法。保護者、教育者、企業、地域住民、そして行政までも、この実践に関わり取り組んでいる。

◆レッジョ·エミリア·アプローチの哲学の祖

教育者ローリス·マラグッツィ 100の言葉◆

子どもはすでに100の世界を持っているのに、大人の考えで99を奪ってしまう。

子どもの権利に気付き認めること。大人への問題提起である。

◆レッジョエミリア·アプローチ レミダの仕組み◆

イタリアは、アートが生活の中に溶け込んでいる。地域の企業からデザインセンスの良い廃材を、自動的に集める仕組みがある。素材の選定、管理、提供、教育者育成の場として、リサイクル教育素材センター、レ·ミダが機能している。

◆レッジョ·エミリア 街の祭典◆

年に1度の祭典レ·ミダ·デー、レッジョ·ナラは、アートの祭典。街中に子ども達の作品が溢れ、市民参加型の祭典として定着している。大人と子どもが認め会う日。

◆レッジョ·エミリア·アプローチ 教育の展開◆

現在、公立·私立の保育所、幼児学校、小学校、学童、中学校まで実践されている教育手法。

アートを主軸としたもので、教師、芸術専門家等が関わり、子ども主体で実践されている。大人は、ねらいや発達段階を把握し導いていく。少人数のグループ単位で、プロジェクト活動を行う。1日で完結するものから、数年掛けて取り組むものもある。大人は子どもたちの活動を記録し振り返りを行うことで、子どもの能力を発見し、共に探究していく。

◆日本での実践例 水のプロジェクト◆

(教師 杉下裕樹)

子ども達に水の大切さを理解してもらう事がねらい。時間を掛けて、水について探求する。

例) 床下の水道の配管が通っている場所の上に紙を敷き、子ども各自が水の流れをイメージし、絵の具で自由に表現する。(実践の一部分)

◆レッジョ·エミリア·アプローチの考え方

アプローチの根幹◆

子どもは、有能である。大人が子どもをどう見るか。これが全て。子どもに聴き、共に学ぶ姿勢が最も大切。教育は子どもの権利であり、その権利を守ることはコミュニティの責任という考え方。

◆茅ヶ崎市民協働事業 移動アトリエバス◆

(提案者、実践者 杉下裕樹)

世代間交流を通して、街のコミュニティの場を作る事が目標。企業廃材を選別、収集、整理し、廃材をアート素材として蘇らせる。素材をバスの乗せ公民館等に出向く。子ども達から高齢者まで、自由に素材に触れ、遊べる機会を創出。

◆ワーク·シート◆

「私の住みたい街づくり」をテーマに参加者がワーク·シートに記入

今、この地域をより良くするために、私に出来る事は何かを考えてみる。

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参加された方からいただいた意見を一部ご紹介します。

(講演の感想)
 ・自分たちの取り組みにも、もっと幼児対象のプログラムが必要なのかもれないと思いました。子どもたちによって気づかされることがあるかもしれない!
 ・人としての根源・根本の見つめ方、子ども主導での姿勢、大人の立ち位置、とても勉強になりました。
 ・教育の根幹は幼児教育にある。自主性のある人間を育てるためにも、幼児教育に力を入れていかないといけないと感じた。
 ・海外のアートを見て日本に戻り、とてもいろいろ考えさせられたり、自分の幼稚園、アトリエでももっと何か方法があるのでは?“場所”のことなど、とても共感しました。これからの励みになります。
 ・子どものもつ可能性をより強く感じられる講演でした。同時に子どもを導いていく大人の責任を強く感じました。参加ができてよかったです。
 ・途中参加になってしまったが、ヨーロッパの教育制度はイエナプランなど、地域ぐるみのダイナミックな教育、子ども主体のものがいろいろあり、日本では土壌の違いがあるのでどう取り入れていくか。
 ・つかみかねていたレッジョエミリアアプローチの事を知ることができ、とても良かったです。
 ・アート、自由に表現すること、子育てにもですが、自分に足りないところかなと思いました。
 ・アートを通して教育を!というプログラムの話は興味深くきかせていただきました。ありがとうございます。教育者だけでなく、親たちが子どものまなざしをどう深めていくのか知りたいと思いました。子どもの個性を大事にする文化があるのですね、きっと!

(参加者自身の抱えている課題、問題意識など)
 ・4歳~からですと、教室はわりと自分たちで考えたりしてやっていますが、親子さんが必ず手を出してきては、手伝って「ああしたら?こうでしょ?」と言ってきます。どうしたらいいでしょう。
 ・小学校の図工教育 学校によって差がある。
 ・なかなか個性が認められないので、先生方も子どもたちの性格が難しい子の扱える人を増やして欲しい。
 ・自由に表現すること、アートにふれること、個人でだけでなく教育機関でももっと実践してもらえたらと思う。
 ・日本に導入されるための山積みの課題を1つずつ片づける事。
 ・豊かな表現力を発揮してもらうために私は(大人は)どのように具体的なアプローチ、声かけ、目的を掲げたらよいか。
 ・子どもの生きる力をのばすためにどうあるべきか。

(今後開催してほしい企画案)
・レッジョエミリア・アプローチの作品、やり方やアイデアなど、具体的にもっと知りたいと思いました。(水のプロジェクトなど)
・身体表現を用いた企画
・美しいと感じる時間と場所を作ってほしい。
・情報提供など。この時間にみようとか、自然の美しさをみることなど
・三島の自然の中で体験できるワークショップ

当日、参加されたみなさまからいただいたワークシートとアンケートの内容を活かし、次のステップにつなげていきたいと思います。
ありがとうございました。