※2022年10月16日に開催したワークショップの、参加者によるレポートです。
「アート寺子屋~みて、きいて、さわって、つくっちゃおう~」ワークショップに、小2の娘と参加しました。
「石」と向き合う一日。親の私はどんな事が起きるのだろうと、わくわく、少しドキドキ。娘は何をするのか、何が起こるのか、よくわかっていない様子でちょっと不安そう。でもちょっとわくわく。
会場はヴァンジ彫刻庭園美術館。会場に着いて早々、娘は「ヴァンジさんって誰?」「ヴァンジさんって何やっている人なの?」ヴァンジさんは何者か?に興味深々の様子です。
そんな中、ヴァンジ彫刻庭園美術館の渡川さんナビゲートによる、作品鑑賞が始まりました。当日参加した20人近くの子ども達は、石の作品を色々な角度で観てみたり、観るだけではなく、手で触ったり、触り方を変えてみたり、目隠しをして触ってみたり、登ってみたり…。じっくりと様々な方法で石を感じた子どもたちからは、「熊に引っかかれた人みたい!」「すごくつるつるしてる!」「でもこっちはザラザラしてる!」とあちこちから声が止みません。
娘は声は出さずとも、ジーっと何度も石を触って感じている様子。後でそっと聞いてみたらお気に入りの作品もできたみたいです。
さて、館内を抜けて見えてきたのは、午後からのワークショップの場所となる庭園。当日はとっても良いお天気だったこともあり、芝生も緑もキラキラきれいで、その場所にいるだけでとっても気持ちいい気分になります。
庭園にはちょっと不思議な、まあるいタマゴのような石があちらこちらに。石の彫刻家の藤田雅也先生の作品です。子ども達はその石たちを拾い集めてきて、藤田先生のお話を聞きます。午後からのワークショップに向けて、石のお話を聞いたり、石の割り方や磨き方を教えてもらったり。初めて石を割る体験をした娘は、最初は恐る恐るトンカチを握っていましたがコツも教えてもらったらパキーンを割れました。
これは初めての感覚!午後からのワークに期待が膨らみます。
お昼を挟んで、いよいよ午後のワークショップです。お昼にお弁当を食べながら「後で石を磨いてピカピカにしたい!」と言っていた娘。一目散に自分のお気に入りの石を探して、やすりで必死に磨いていきます。荒いやすりの後は、細かいやすりにして、ピカピカにするまで集中してとにかく磨きます。一緒にワークショップに参加していた同じぐらいの年齢の女の子たちと一緒にゴシゴシゴシゴシ。磨くほどに石が光っていくことがうれしい!
石を磨いた後は、割ってみたくなりました。午前中は恐る恐るトンカチを握っていた娘もコツを掴んだか、気づけばバンバンパキーンと勢いよく石を割っていきます。さて、娘は石をきれいな角ができた四角い形に割ることにこだわっている様子。周りの子ども達も夢中で石を割っていて子どもたちの周りには割れた石の山ができています。
ひとしきり石を割った娘。さあこれをどうしようと悩んでいます。「この石で何かをつくりたい、でも何をつくっていいかわからない…。」と悩んでいます。こちらが「何かをつくらなくてもいいよ、積んで遊んでもいいし、この石に色を塗ったり磨いたりしてもいいんだよ。」と言っても、「うーん…」と悩む悩む…。
いくつもの石をくっつけて自分の名前をつくって、家をつくってみたいようです。でも自分の名前で石をくっつけるのは難しそう。地面に石を並べて、名前をつくることにしました。そうしたら芝生の緑色に映えて結構素敵。藤田先生や周りの大人たちに「いいね!」と言ってもらえて、嬉しそう。さらに石に色も塗りたくなって、塗り始めたところで今日のワークは終了!
他の子どもたちもピカピカの石をつくったり、自由に色を塗ってみたり、石を積んで自分だけの作品をつくったり、とにかく石を割りまくってみたり、それぞれが石にじっくり触れて感じた時間を過ごしました。
どの子どもたちも、最後にお父さんやお母さんたちに自分のつくった物や体験を嬉しそうに教えていた様子が印象的です。
さて、我が娘も自分が作った作品(石)を持ち帰りたいということで、石が入ってパンパンにふくらみ、破れそうな袋を抱えて電車で帰路に着きました。帰りの電車の中では「今日楽しかった!行ってよかった!」と言う娘。娘は家に着いて、早速袋から石を取り出し自分のつくったものを家族に嬉しそうに見せていました。
実は、ワークショップに参加する前は、「何をつくるの?上手につくれないと嫌だな…」と不安そうに言っていた娘。でも実際に参加すると「何を作ってもいいんだよ、上手につくらなくてもいい、自分がしたいように石と触れ合えばいい」というあたたかくゆるやかな雰囲気と、そしてわくわくする空間で自分なりに石と対話していたように思います。
ちなみに一番楽しかったのは「石を叩いて割ったこと!」とのこと。確かにあの感覚はやみつきになりそうです。
素敵な時間を作っていただいたみなさま、ありがとうございました。