こどもがアートに出合うミラクルワークショップシリーズ3回目「キッズアーティストになろう!」が7月24・25日に無料講座として開催されました。講師の木村若菜さんは伊豆市生まれで、ロサンゼルスで活躍するプロのアーティスト。コロナ感染拡大を避けて帰国し、子どもをアートで応援することができないかと考えていた矢先、アルテプラーサとのつながりができ、このワークショップが実現しました。
通しで2日間行われたワークショップには、静岡県東部から中部の小学1年生から中学1年生までのお子様20名が参加しました。
ワークショップの模様を2日に分けてレポートします。

7月24日(土) 会場 モンミュゼ沼津
事前勉強会「アートとであう 画材と遊ぶ」

美術館、モンミュゼ沼津で13時30分から16時30分まで、親子参加で開かれました。モンミュゼ沼津では8月1日まで木村さんの展覧会も開かれており、作品が飾られている広めのスペースで、靴を脱いで集合。まずは木村さんの「アートって何?アーティストって何をする人?」という問いかけから始まりました。

木村さんは8歳の頃から約33年の間、毎日絵を描いていたそうです。その中で美しいものを一生かけて作っていこうという思いをもたれたとのこと。その作品の一部も「Daily practice(デイリープラクティス)」というタイトルで飾られています。そして、正面の巨大な「character(キャラクター)」という作品についての説明がありました。こちらは2011年、アメリカで半年かけて作った絵。「中に何が見える?」という木村さんの質問に、子どもたちが「龍、馬、うさぎ、フェニックス、菊の花」などと、次々に答えます。「普段使っている言語が違っても、絵で伝えられることがある」「その絵を見て話を作るのは、それぞれ見ている皆さん」と、子どもにも大人にも響く話をされました。

その後、作品に描かれている鹿曼荼羅や天女絵の由来の話があり、1200年前の曼陀羅の絵柄が細分化されたプリントがたくさん用意され、いろいろな神さまや動物が描かれた大量の絵の中から子どもも大人も描きたいものを1枚ずつ選んでいきます。構図も好きなように切り取っていいけれど、絵を完成させることがまず目標。参加者それぞれが、講師やアートコミュニケーターのアドバイスも受けながら、仏画をまず鉛筆やマジックで描き、時間のある人は色塗りまで行いました。綿密だったり大胆だったり、子どもも保護者も、それぞれが集中して「わたしだけの」特徴豊かに絵を描いていました。

さらに、もう1つ大きな作品作りがありました。最初から床に敷いてあった5m×1.5mを4枚くっつけて並べられた巨大キャンバス。そこに子どもたちが裸足になり、アクリルのカラー絵の具で自由に下地を描いていくという作業です。筆やハケ、ローラー、または手足、ペーパーの芯まで使って、思い切り色を塗っていきました。筆を振って絵の具を散らすなどもOKで、普段できない自由な絵の具使いに、子どもたちも興奮気味。絵の具の水たまりもでき、この繰り返しで、最後にはキャンバスいっぱいに色が塗られましたが、これでちゃんとした絵が描けるのかなぁと、ちょっと心配。

7月25日(日) 会場 ルンビニ幼稚園

2日目のワークショップ本番は、沼津市千本にあるルンビニ幼稚園の講堂をお借りし、丸々1日をかけて、前日の絵を合体させて4枚の大きな絵に完成させていきます。お昼をそれぞれ用意して10時からスタート。
まずは前日に自分と、自分の保護者が描いた仏画を持って、必要に応じて形に沿って切る作業を行いました。その後、それぞれの絵を巨大キャンバスに配置していきます。みんなが見守る中、木村さんが時折子どもたちに意見を聞きながらも、手早く絵を置いていきます。それだけでひとつの大きな作品の片鱗が見えてきました。

次は巨大キャンバスの上に置かれた絵をボンドで貼り、絵の具で自分や保護者の絵の塗り足りない箇所を塗っていく作業に。塗り終わったら、バックの巨大キャンバスと一緒につなげて、さらに大きく輪を描いたり色を塗ったり、あるいは模様を描いたりと、巨大キャンバス地の模様とそれぞれが描いた仏画が繋がりあって大きな絵が完成しました。


15時半からは保護者が加わって発表会も行いました。子どもたち一人一人が、自分の担当した仏画の前で、がんばったことや大変だったことなどの感想を話していきます。「絵の具の細かい調整が難しかったけれど彩りよく塗れた」「あきらめずに最後まで細かい絵を描き上げた」などの感想がありました。

最後に木村先生から「仏画教室のワークショップは、日本でもアメリカでも色々な形式でもっと長い日数などでも行っている中、2日しかないのにみんな集中力があってがんばってできた」と講評がありました。

コロナと熱中症、両方の対策に気を使いながらも、無事に2日間のワークショップが終了しました。子どもたちが学校での普段の授業とは違う形でのアートに触れる機会をもて、参加いただいた皆さんから、たくさんの感想が寄せられました。

参加者の皆さんのご意見

絵を描くことが大好きな子なので、大きなキャンパスに絵を描くことが出来て本当に嬉しかったようです。親子で、夏休みの素敵な思い出が出来て良かったと思います。

プロの作品をじっくり鑑賞して解説を聞けた事、道具や材料に触れたり実際に使えたりした事など子供達にとって貴重な体験になったと思います。それぞれの表現を尊重しながらも、最後には一つの作品に仕上がっていて素晴らしかったです。子供達が協力して得た達成感は夏休みの宝物になったと思います。

元々、絵を書いたりするのは好きなのですが、長い時間をかけて取り組むのは苦手でした。今回のワークショップに参加し、以前より作品に時間をかけて取り組む事が出来るようになりました。 (お陰様で夏休みの宿題の絵も4つ切り画用紙いっぱいに大きな絵を書いて仕上げる事ができ、さらに体験の感動は、絵日記に書き無事2つ終わりました!!)

キャンバスに描いたのも初めてでしたし、自分の身長よりも大きな場所に自由に描いたのも初めてで、子供にとって、とても新鮮で楽しかったようです。人見知りで親なしでは知らない場所、知らない人に囲まれるのは苦手な子供なのですが、このワークショップは、『また参加したい』と言っていました。 子供の成長を見る事ができ良い体験をさせて頂きました。

参加したみんなで描いた作品は、全長20メートルの大作です。モンミュゼ沼津様に展示の相談をしたところ、ご快諾をいただき、同施設で来年2月に作品展示を予定していますので、今後フェイスブックなどでご案内する予定です。アーティストの作品展示みたいな展示がされるのかな?どんな作品展になるかお楽しみに。
ご参加ご協力くださった皆様に感謝いたします。